ウリィィィィィィィィイに至る道

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ディオが石仮面をかぶる。

ストーリーは、その1点に集約されて行きます。
そういう観点で、ジョジョ1部を追って行く記事ですね。

※※※ ご注意くださいませ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※
この記事は、ジョジョを読んで、筆者が思った事感じた事を、
つらつらと勝手気ままに書きなぐっただけの文章です。
間違いや思い込みによる、いい加減な記述が多々存在するハズです。
記述内容が、何かの保障に基ずく・・・なんて事は全くありません。
また、『人類すべてが、少なくても1回はジョジョを通読している・・・』
という前提のもとに書いています。
要するに、読んだ事の無い人の為の説明的な記述や、
ネタバレへの配慮なども、一切ありませんので。
その点、ご了承くださいませ・・・・・・・・・・・・(^^ゞ
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2016年5月 初稿

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ウリィィィィィィィィイに至る道

ディオのイメージって?
・闇の帝王
・暗黒の貴公子
・殺戮のエリート
・地獄のカリスマ
・戦えば最強の格闘王
ざっとこんな感じでしょうか?

それらは第1部後半と第3部で造られたイメージです。
実は、第1部前半のディオは、全然違う人格なのです。

では、第1部冒頭のディオは、どんな人なのでしょうか?

ジョースター家の財産を横取りしようとしているだけの、小悪党です。
その手段も、最初のうちは、
ユスリ・タカリじみて、子供っぽくてちんぴら臭い。
あれほど軽蔑している、父のダリオと変わらないレベルです。

ですが、その手腕は評価されるべきです。
着実に、ジョナサンを孤独に追い込み、自信を失わせ、
けして自分にはかなわない・・・・みたいな刷り込みをして行きます。

人としてのレベルでは、ダリオと大差無くても、能力は全然違う。
まぁ、そのへんがそもそもの悲劇の根っこなんでしょう。
極貧の暮らしで、教養のカケラも感じられない父に育てられたのに、
勉強も出来て、礼儀作法も(表面的だが)身に着けているとは!
見た目は、立派な紳士です。
なんでもスマートにこなせるのは、絶えず努力を続けてるからカモ?
反面、ガキ共の大将気取りでいる所なんかは、権力指向がチラついて、
後の帝王的なディオが垣間見えたりして、興味深い・・・・・・・・・・・・・・(^^ゞ

この時期のディオは、如何にして精神の平衡を保っていたのか?

ガキ共やジョナサンへの対応や態度を見る限りでは、
人を見下す事・・・優越感しかないのではないか? としか思えない。

当然ですが、優越感とは、他者と自分との関係が基準になります。
しかし・・・紳士というものは、何を思い、どう考え、いかに行動したか!
そこを問われるのではないでしょうか?
つまり、あくまでも基準は自分の中にあるハズです。

『優越感と劣等感は表裏一体』、という事は良く知られていますね。
ならばディオは、心の奥深くに劣等感を宿していた、という事になります。
その劣等感の元になっているのは、やはり父のダリオでしょう。
クズ人間のダリオの血を引いているという事実が、ディオの劣等感の根源です。
そこが、ディオのアキレス腱です。

着々とジョナサンを追い込んでいるディオに、思わぬ事態が訪れます。
発端は『エリナ強制キス事件』です。
ディオは、泥水で唇を洗うエリナに、逆上して平手打ちをかましてしまう。
『そんなのは、つまらんプライドだァ!』

ここ、重要です。
何故って、
実の父親さえ、証拠を残さぬよう冷静に毒殺してしまう男の行動としては、
たかが小娘に逆上って、明らかに変ではないですか!
逆上とは、心の中で敗北を認めた事に他ならないのですから。

ディオの越えられない壁

突然の衝撃的かつ屈辱的過ぎる事態にも、毅然とした態度を崩さないエリナ。
それこそが、本物の紳士(淑女)。
『たかが小娘』と見下していて相手に、ホンモノを見せつけられた。
ニセ紳士のディオには、望んでも絶対に手に入らないものであり、
言ってしまえば、育ちの差です。
優越感を保つ事が出来なくなってしまって、精神の平衡が壊れた。
これが、ディオ最初の敗北です。

勝手に絡んで来て、思い通りに行かなければ、勝手に逆上して・・・
なんて迷惑な話でしょうか。
1部前半のディオは、終始こんな感じです。

この後ディオは、事態を知ったジョナサンにタコ殴りにされてしまいます。
ディオ2番目の敗北です。
この2度目の敗北こそが、決定的なダメージをディオに与えました。

絶対的かつ圧倒的に勝てると思って、余裕かましていたのですが・・・
散々に殴られてしまった。
その挙句、とりみだして涙を流して、暴言。
『こんなカスみたいなヤツにこのディオがッ!』
『このきたならしい阿呆がァーッ!!』
さらにいけない事に、ディオはナイフを取り出してしまう。
刃傷沙汰など起こしたら、財産横取りという本来の目的が破綻するのに。

精神の平衡を失うと、感情的になって後先考えない行動を取ってしまう。
本来の目的を忘れて、目先のちっぽけな勝利を求めてしまう。
その事が、繰り返し語られました。
この脆弱な精神こそが、石仮面に至る潜在的な理由その1です。

ディオは『腹いせ』に、ジョナサンの愛犬ダニーを残酷な方法で殺します。
あの、人を見下した男が『腹いせ』って。 どれだけ強い敗北感。
しかも、あの残酷なやり方・・・・
石仮面を被るまでも無く、この時点でディオは人間を捨てている。

ここに至り、ようやくディオは気が付いた・・・ジョナサン侮りがたし。
しかし、損なわれてしまった優越感は、回復されなければいけない。
そもそも、金だけが目的だったディオです。
抜ける物さえ抜いてしまえば、ジョースター家などに興味も無かったハズ。
しかし、この時から、金さえ手に入れば良いのでは無く、
ジョナサンからすべてを奪い、敗北感を味あわせる事が目的に加わった。
それは、かなり強固な意志に違いない。
あくまでも推察ですが、筆者はそう考えます。
この黒い意志を胸に宿した事が、石仮面に至る潜在的な理由その2です。

まとめ、
いつでも誰でも、他人を見下す傲慢さ。
でも、心の奥には劣等感。
逆境に弱い、脆弱な精神。
それでいて、負けず嫌い。
財産を奪い、ジョナサンを破滅させるという、よこしまな野望。

どう見ても、悲劇を引き起こすしか無いような人ですね。
やれやれだぜ・・・・・

少年時代の終わり

ディオの凄い所は、いままでの方針ではダメだと判断し、
あっさり戦略を変更したところでしょう。
表立った行動は、なりを潜めます。
ちんぴらから、暗い情熱を持つ狡猾な策士へと成長(?)です。

ディオを変えたのは、他ならぬジョナサン、いえ、ジョナサンへの敗北。
ジョナサンさえいなければ、ディオは石仮面など被らかった。

だが一方の、ジョナサンだって散々です。
友達を遠ざけられて孤独にされ。
恋人のエリナとは引き裂かれ。
愛犬のダニーを殺されてしまった。
どれもが、少年のジョナサンにとってかけがえの無いもの。
そのすべてを、奪われ破壊され、失ってしまった。
ジョナサンは、孤独な青春時代を過ごします。
10代の少年には、重すぎます。
でも、孤独や心の痛みが、ジョナサンの精神を鍛えた。
ディオへの勝利が自信につながり、より一層心が強くなった。
吸血鬼とも戦える、ジョナサンの強靭な精神の力は、
ディオが鍛えたと言えるのです。

ジョナサンとディオはそういう補完関係にあるのです。

このようにして、ディオは悲劇への道をひた走り。
ジョナサンは、それに引きずられるように・・・・
第1部前半は、そんな風に進んで行きます。

古い手紙をきっかけに、運命は急坂を転がり始める。

ここで、ひとつの疑問が頭をもたげます。
何故、ジョージはディオを養子にしたのか?

ディオは、命の恩人ダリオ(実はただのコソ泥)のひとり息子。
そのディオが身寄りを失ってしまったので、手を差し伸べる。
それは納得のいく話ですが、
それと、養子にするという話とでは、全然違うのではないか?
ジョナサンという、正統な跡継ぎがいるにもかかわらず・・・

結果として、ディオを養子にした事が、ジョージ毒殺未遂につながった、
と言う事が出来ると思う。
養子になどしなければ、ジョージが死んだところで、
ディオに遺産が転がり込む事など無いのだから。

もう少し、ストーリーを追って行きましょう。

ジョナサンは、偶然ダリオからジョージへの古い手紙を見つける。
そこから、ストーリーは急展開を始めます。
手紙の内容から、ダリオとジョージの症状がまったく同じ事に気が付く。
事は、既に進行中だったのだ。

ジョージの元へ薬を運ぶディオ、問い詰めるジョナサン。
心理戦を仕掛け、なんとか切り抜けようとするディオ。

『ジョジョ!その薬を調べるという事は、我々の友情を疑う事!』
『友情を失うぞッ!』
圧倒されかかるジョナサン!
『ディオ!紳士として 君の実の父ブランドー氏の名誉にかけて誓ってくれ』
『自分の潔白をッ!』
ジョナサンにしてみれば、紳士ならば当然誓えるハズ・・・程度のセリフ。
しかし、偶然にもそれは、ディオの急所だった(ダリオだかんね)。
激昂し、殴りかかるディオ
ディオは自ら仕掛けた心理戦で、破れてしまう。

顔にパンチを受けながら、目も閉じないジョナサン。
この頃では、身体能力では、ジョナサンはディオを圧倒している。
白兵戦も、ジョナサンの圧勝だ。

疑念は、確信にかわり、
ジョナサンは、父とジョースター家を守る決意を固める。

心理戦で負け、白兵戦で負け、殺人未遂がバレかけている。
ディオは、追い詰められた。

ディオの読みでは、
ジョナサンが確たる証拠を掴むまで、まだ多少の時間がある。

ここで、ディオは逐電してしまうべきだったのだ。
屋敷の中の金目の物をかっさらってトンズラだ。
ドーバーを越えて大陸に渡れば、あとは何処にでも逃げられただろうに。
しかし、それは出来ない。
ジョナサンに負けたまま逃げる・・・・・・
ディオの性格では、そんな事は出来るハズが無い・・・・
ジョジョ1部本編で、延々とそれは語られています。

ディオは逃げられない。
まして、詫びを入れるとか自首する事など、思いもよらない。

ディオが考えた事と言えば、
ただ一人疑念を抱くジョナサンを、殺してしまう・・・・という事だった。

そして、ディオは石仮面を被り、ジョースター邸は焼け落ちる。

ジョナサンは、ディオの予想を上回る速さで、証拠と解毒剤を確保し、
警官隊と共に、ディオの帰りを待ち受ける。

行動力においても、ジョナサンはディオの認識を大きく上回ってる。
ディオは、本当に追い詰められた。

しかし、ディオもまた、金星を上げている。
命からがらなれど、石仮面の本来の機能を突き止めている。

後はもう、ご存じの大惨劇である。
ディオは、石仮面をかぶるんですね。
ここまでのストーリーは、まさにこの1点に集約されるって、
お分かりいただけるでしょうか?

そして・・・・
ジョージョは命を落とし、ジョースター家は焼け落ちる。
警官隊だって、大きな損害を出してる。

何故こんな事になったのか?
よーく考えれば、そもそもの原因を作ったのは、すべてジョージである。
石仮面を持ち込んだのは、ジョージである。
ブランドーの人間とのつながりを作り、ディオを養子にまでしたのも、
他ならぬジョージである。

もちろん、そうとは知らずにやった事で、悪気など全然無い。
でも、実際、悲劇の原因を作ったのは、ジョージなのである。
ジョナサンは、そのトバッチリを受けただけなのである。

ジョージの呼び寄せた災厄は、何世代にも渡って、
子孫(つまり歴代のジョジョだ)を苦しめる事になる。

しかしまた、ジョージは、ジョナサンをかばう為に命を落とした。
誰よりも、ジョナサンの事を思っていたのだ。
そういう事もまた、何世代にも渡り引き継がれていく事になる。
ジョースター家というのも、大変なもんなんですよね。

やれやれだぜ・・・・・・・

親、あるいは先祖から、
知らぬ間に受け継がれた、災厄とか黄金の精神とか!
これが、ジョジョのシリーズを通して、スパーンと通って行く。。
そういった事も、おいおい書いて行きたいと思っています。

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