ジョジョ第1部、導入部に込められた作品への想い!

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ネタバレ★注意
30年もシリーズの連載を続ける作品は、
他にもあります。
でも、30年もたってからTVアニメ化される作品は、
そうは無いです。

いろいろな意味で、ジョジョは特異な作品なのですよ。
筆者の独断ではありますが、
ジョジョの中でも、最も異彩を放つのが第1部だと思います。
そんな訳もあって、第1部から見て行きたいと思います。

※※※ ご注意くださいませ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※
この記事は、
・ジョジョを読んで無い人への配慮は皆無です。
・ただただ筆者の妄想を書き連ねております。
・ネタバレへの配慮なども一切ありません。ネタバレ★注意
・有るのはジョジョへの熱い想いだけす。
その点、ご了承くださったうえで読んでいたけたら、
筆者にとって、無上の喜びで御座います。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

2016年5月 初稿

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ジョジョという作品が生まれたのは、どんな時代だったのか?

1980年代、まんがのパワーが最大だった時代。

連載開始は、1986年となっている。
1987年1・2号で連載スタートだから実質1986年末。
この原稿を書いているのは2015年の年末だから、
以来、30年近くもの歳月が経過している。

当時の少年ジャンプの連載陣を調べてみたら、
・聖闘士星矢
・北斗の拳
・ドラゴンボール
・キン肉マン
・キャプテン翼
・流れ星銀
・魁男塾
・こちら葛飾区亀有公園前派出所
・シティハンター

とんでもないラインナップ、
いずれもレジェンドではないか!

まるで全員4番の打線みたい、
この時代のマンガのパワー、凄まじい!
こんな連中が競い合っていたのが、
当時の少年ジャンプ

いずれの作品も
『友情』『努力』『勝利』のジャンプ三原則にのっとり、
『力と力』『技と技』あるいは『技と力』のぶつかり合いの、
格闘戦を演じていた訳である。
過酷な世界と言える。

そんな連中を相手にして、
ポジション争いして行かなければならない。
ジョジョは、そんな世界で連載を開始したのである。

状況が作品に与える影響!

荒木先生は、ジョジョに先立ち、
『バオー来訪者』と『魔少年ビーティー』を書いていますが、
いずれも、連載は短期間で終わってしまってます。
一部の熱心なファンを獲得してはいたが、
ジャンプ連載陣として確固たる地位の確立までには至らず・・・・・・
そのような状況だったのではないでしょうか?

そういったもろもろの状況が、
ジョジョの物語造りに影響している・・・
筆者はそう考えます。

本稿では、そういう観点も含め、
ジョジョの第1部の物語の造りについて、
考えて行きたいと思います。

※ちなみに、同年の少年マガジンでは、
あいつとララバイとバリバリ伝説をやってるんですね。
凄い時代です。
そう言えば当時は、良い歳をした大人が、
普通にジャンプやマガジンを買う時代でした。

第1部は、ジョジョの中でも特異な作品?

ジョジョ1部が説明し難い理由。

さて、ジョジョ第1部ファントムブラッド!
単行本にして5巻と半分で終わってしまうという分量。
シリーズ中最短の物語です。

この話、
何故だか、これはこういう物語ですよ・・・
という説明がしにくいのです。

どうしてだろう・・・・と、
よくよく読み直して、考えて、
ジョースター邸焼失事件の前後で、
全然違う物語だからだと気が付いた。

前半と後半は、別に考える必要があったのです。

後半は、
勝負→勝負→勝負の典型的な少年マンガの展開
です。
それに対し前半は、ストーリー主体の展開で、
少年マンガとしてはやや異質な感じで、
むしろ小説的な感じが有る。

ストーリー主体・・・そのストーリーとは?

では、そのストーリーとは何なのか?
それは、
こうしてディオは、石仮面をかぶる事になりました
・・という話である。

つまり、第1部の前半は、
ディオが石仮面を被る場面に向けて収斂されていく
ですね。

そう書くと、
悪役のディオ中心の話のようだけどそうでもない。

何故ならば、それを裏返せば、
何故ジョナサンは命を掛けてまでも、
吸血鬼と戦わなければならないのか?

という話でもあるからです。

永遠の命と強大な身体能力が手に入るとしても、
太陽の光も浴びられない化物になる・・・・・・・・・
普通はそんな選択しません。
悲劇なんです。
そういう事って。

ストーリー主体で描かれたホラー仕立ての悲劇。
『ジョジョの奇妙な冒険・第1部』って、
そういう物なんだ・・・・

もうちょっと、考察を進めていきたいと思います

導入部がすべてを語る・・・・か?

この記事における、ジョジョ1部導入部の定義。

と言う事で、まず導入部を見ます。
その前に、
この記事で言う所の、ジョジョ1部導入部を定義しておきます。

この記事で言う、ジョジョ第1部の導入部とは、
『冒頭から、ジョースター邸にディオの乗る馬車が着くまで。』
を指します。
少年ジャンプでの連載第1回目の内容に相当します。

馬車の事故のシーン。

最初に確認しておきたいのは、
馬車の事故のシーンです。


荒木飛呂彦先生。
集英社 ジャンプコミックス
ジョジョの奇妙な冒険 第1巻

ダリオの回想として語られる、
凄惨な事故現場のシーンです。

瀕死のジョージ・ジョースター。
火事場泥棒よろしく物色するダリオ・ブランドー。

破れた荷物からのぞく石仮面
もう災厄の象徴ですね。
聞こえて来るのは赤子の鳴き声・・・・・

赤子の泣き声は、自身が背負う不幸な運命の予感か?
それとも、唯一の希望なのか?


赤子(ジョナサン)の鳴き声は、未来の希望か?
呪いのアイテム(石仮面)は、災厄の象徴か?

瀕死のケガでも紳士であり続ける、
ジョージ・ジョースター。

火事場泥棒のダリオ・ブランドー、
あくまでも下衆だ。

荒木飛呂彦先生。
集英社 ジャンプコミックス
ジョジョの奇妙な冒険 第1巻

数世代にも及ぶ、ジョースター家とブランドーの男の因縁が、
ここから始まったと思うと、とても感慨深いシーンです。

このシーンの、ポイントを押さえておきます。

カテゴリ 第1部冒頭
舞台設定 馬車の事故
赤子 ジョナサン(声だけ)
赤子の母親 ジョナサンの母(死亡)
ジョースター ジョージ(瀕死・のちに蘇生)
ブランドー ダリオ(コソ泥)
呪いのアイテム 石仮面
その他 酒場の女

結果としてこのシーンは、
『シリーズ全体としてのジョジョの奇妙な冒険』というものを、
象徴するもの
になってしまった・・・
ように思えてなりません。
それについては、第1部ラストの記事でもう一度触れます。

それはさておき、
導入部分(ってか第1話)の内容を、ずず~っと見ときましょう。

しょっぱなから、石仮面と吸血鬼が登場しています!

荒木飛呂彦先生。
集英社 ジャンプコミックス
ジョジョの奇妙な冒険 第1巻

石仮面と人間の血が、吸血鬼を作り出す事!
最大のギミックは、最初からオープンにされています。

ディオ登場。 ダリオとディオ

瀕死のダリオ。
ディオの薬への言及・・・・・毒殺の示唆です。
これはジョージ毒殺未遂事件にもつながります

ダリオからジョージへの手紙も出て来ます。
重要アイテムです。

父の墓に唾棄するディオ
ディオの父親への感情、
その性格や野心家である事も伝わります。

荒木飛呂彦先生。
集英社 ジャンプコミックス
ジョジョの奇妙な冒険 第1巻

ジョナサンとエリナ登場

ジョナサンは紳士を目指す
正義感の強い少年
であると書いてある。

エリナが医者の娘だと記されていて、
後の看病のシーンにつながります。

細かい点では、
19世紀・・・と時代設定の明示があります。
悪ガキのセリフから、
庶民が金持ちに対して抱いていた感情を
うかがい知る事が出来ます。

ディオや悪ガキ達が、ジョースター家などの金持ち
に対して抱いた気持ちを考えるうえで重要です。


エリナの父親は『ヤブ医者』らしい・・・・・・(^^;


さらに殴られると分かっても、
姓名を隠さないジョナサン。

荒木飛呂彦先生。
集英社 ジャンプコミックス
ジョジョの奇妙な冒険 第1巻

このように、
第1部前半の重要事項がほぼすべて網羅されている。

それが意味するのは、
最初からストーリーは練りに練られていた
と言う事に他なりません。

エリナの看病のシーンまでもね・・・・・・・・
いやはや、恐れ入ります。

それらが伏線として、張り巡らされている、
まるで、ハイエロファントの結界みたいに・・・・・・・

導入部は、このように凝った造りとなっています。
満を持しての連載スタートだったのでしょう

導入部に込められた、荒木先生の想い。

導入部からは、今度こそはヒットを飛ばすぞ!・・・
という気合を感じます。

読者は、物語の中へぐいぐい引き込まれてしまう。

でもこれは、大長編の導入部というよりは、
小説で言えば文庫本1冊分、丁度映画1本分くらいの
手頃な長さの作品の造り方のように思える。

そのへんから、
当初この物語は、比較的短い話として造られたのかな?、
なんて事も思ったりします。

ジョジョを書き始めるにあたって、
良く出来た小説みたいな作品を作りたい・・・・
みたいな意味の事を、
荒木先生ご自身が、
どっかで書いていたと思います。
第一部前半は、
そのとおりの作品になっていると思います。

第1部の前半を追って行くにはどうしたら良いのか!?
それは、ディオの行動から見て行くと、
分かって来るんすよねェ・・・・・・・・・(^^ゞ

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